皆さんは「一つテンヤ」という釣り方を聞いたことはありますか? この釣り方は船釣りの一種で「テンヤ」という仕掛にエサをつけて魚をねらう釣り方です。日本では古くから親しまれている釣り方で、瀬戸内や関東など日本各地で楽しまれています。
一つテンヤのメインターゲットはマダイ。ライトなタックルでマダイの強い引きを味わえるとあって人気の高い釣りです。一つテンヤで釣技を競う大会も開催され、テクニカルでゲーム性の高さも人気の理由。また、魚からのアタリがひじょうに多く、いろいろな魚が釣れるので初心者でも楽しめるのも魅力的。

メインターゲットはパワフルな引きで楽しませてくれるマダイ
根魚やフラットフィッシュ、青物などいろいろな魚が釣れるのも一つテンヤの魅力

このページではこれから一つテンヤを始める方に向けてタックルや釣り方、オススメの仕掛を徹底解説します。

まるでルアーフィッシング?ここが一つテンヤの面白いところ

一つテンヤはエサ釣りでありながら、「誘って、掛ける」というルアーフィッシングの要素があります。太刀魚テンヤやイカメタルのようにアグレッシブに誘って、アタリを掛けにいく…そんな攻めの釣りなのです。エサ釣りの集魚効果や喰わせ能力とルアーフィッシングの竿を動かして釣るというそれぞれが持つ特長が融合しているのも一つテンヤの面白いところです。

一つテンヤのタックル

一つテンヤは比較的ライトなタックルで楽しむことができる釣りです。誘って、掛けるといったロッドアクションが多い釣りなので自分に合った取り回しの良いタックルを選ぶようにしましょう。

ロッド一つテンヤ専用ロッド7ft前後
リール2500~3000番のスピニングリール
ラインPEライン0.6~0.8号
リーダーフロロカーボン 2.5~3号
テンヤ固定タイプ、遊動タイプの4~25号など遊漁船指定の号数を使用
ロッド

しゃくりやアワセといったロッドアクションのしやすさ、また魚の引きに耐えるパワーを持ったロッドを選びましょう。専用ロッドがオススメですが、ティップランやタイラバロッドでも代用できます。

リール

リールは2500~3000番のスピニングリールでOK。仕掛の投入・回収が多い釣りなので巻き取りスピードの速いハイギアがオススメです。

ライン

PEラインは0.6~0.8号あれば問題ありません。場合によっては船宿で指定されていることもあるので事前に確認するのも良いでしょう。

リーダー

フロロカーボンの2.5~3号あれば、ある程度サイズの良い魚でも対応できます。また、例えば岩礁域では根に擦れてラインブレイクすることもあるので、少し太めにセッティングするなどエリアによって変えてみるのも良いでしょう。

テンヤ

テンヤには鈎とオモリが一体型の固定タイプと鈎とオモリが別になった遊動タイプの2種類があります。また号数も数多くラインナップされており、海域や潮流によって使う号数を変えます。使用する号数が分からないときは遊漁船指定の号数を使うのがオススメです。

一つテンヤ仕掛の選び方

「エビがズレない」仕掛を選ぼう

さまざまな釣具メーカーから一つテンヤの仕掛が登場していますが、仕掛に求められる性能は「エビがズレにくい」ということです。
一つテンヤではテンヤを動かすことが多いのでどうしてもエビがズレたり、取れることがあります。エビがズレていると違和感になって魚が喰い渋る可能性もありますし、エビがなければアタリすら出すことができません…。ハードにしゃくってもエビがズレない(取れない)よう、ロングシャンク(長軸)の鈎ロック・ストッパーが搭載されたテンヤを選ぶことをオススメします。

状況に応じて固定タイプや遊動タイプを選ぼう

前述のとおり、テンヤには鈎とオモリが一体型の固定タイプと鈎とオモリが別になった遊動タイプの2種類があります。
固定タイプはアタリがダイレクトで分かりやすく、アワセたらしっかりと掛けやすいメリットがあります。しかし、魚に違和感を与えやすいので喰い込みが悪かったり、魚の首振りなどで鈎が外れやすいデメリットも。

一方、遊動タイプは鈎とオモリが分かれているので喰い込みやすく、バレにくさがメリットがですが、オモリ部分が動くためアタリが分かりづらい点や、即アワセをすると掛かりにくく、アワセのタイミングが難しいといったデメリットもあります。

どちらにもメリット・デメリットがありますが、海域や水深、潮の流れに合わせて使い分けることでより多くの釣果に繋げることができます。

どんなカラーがオススメ?

一つテンヤ仕掛には種類や号数のほかカラーが何種類かラインナップされています。海の状況や水深に合わせてカラーセレクトしますが、定番は赤・オレンジ系やゴールド系です。深場や濁り時にはケイムラやグローなどを使うのもアリでしょう。ルアー感覚でカラーセレクトできるのも一つテンヤの楽しいところです。

オススメのテンヤ

オススメのカブラ

オススメの遊動テンヤ

一つテンヤの釣り方

まずはエサをつけよう!

一つテンヤでは活きエビ(もしくは冷凍エビ)をエサにします。まずはテンヤにエサをつけるところから釣りが始まるのでマスターできるようにしましょう。

1.エビの尾羽をハサミで切る
まずはエビの尾羽(尻尾)をハサミで切り落とし、尻尾がない状態にします。

2.孫鈎を刺す
エビの胴体と頭を繋ぐ部分にお腹側から孫鈎(小さな鈎)を刺しこみます。

次に頭側に鈎を刺し抜きます。このとき鈎先は少し出しておきます。

3.親鈎を刺す
親鈎をエビの尻尾側(切り口)から刺しこみます。

鈎に沿わせるようにエビを動かし、エビの胴体がまっすぐになるように刺しこんでいきます。

お腹側から鈎先を抜いたら完了です。

POINT

このとき注意しておきたいのが、エビが丸まらないようにつけることです。エビの腰が曲がった状態だと海の中で回転したり、外れやすくなる原因となります。

ロッドアクションでアピール!”喰わせの間”でアタリを引き出そう!

エサをつけたらテンヤを海へ投入し着底させます。ここからは着底させたあとに行う基本的な動作(アクション)を解説します。

1.テンヤをしゃくり上げる
着底したら余分な糸ふけを巻き取り、テンヤを2~3回しゃくり上げます。エビが水中で逃げているように跳ね上げさせるイメージでテンヤを動かしアピールさせます。

2.竿先を止める
しゃくり上げたら一旦ここで竿先を止め、アタリを待ちます。しゃくりが誘いになっているのでこのタイミングでアタることもあります。

3.竿先をゆっくり下ろす(フォールさせる)
竿を止めたところでアタリがない場合はゆっくりと竿先を下ろしながらテンヤをフォールさせます。このフォール中にアタリが出ることも多いです。

止める・フォールさせるといった「喰わせの間」を作ることでアタリを引き出すことができます。

POINT

アタリが出ない場合は巻き上げてもう一度落し直してみましょう。エビがズレていたり、取れてしまっている可能性もあります。こまめにチェックすることでアタリを引き出すことに繋がります。

アタリを捉えよう!

一つテンヤでは魚からのアタリは竿先に出ることがほとんどで、竿先がフッと持ち上がったり、グッと押さえ込まれたりとさまざまなアタリ方があります。手元や竿先に変化や違和感を感じたらアワセを入れてみましょう。

魚の重みが竿に乗っかればHIT! ゆっくりとリールを巻きながらやり取りを楽しみます。水面まできたらネットですくって取り込みましょう。

POINT

アタリが分かりづらいときは目線を竿先に集中させます。目線を高くしておくことで止めたときやフォール中のアタリを捉えやすくなります。

一つテンヤにチャレンジしてみよう!

いかがでしたか?今回は一つテンヤのタックルや釣り方、オススメの仕掛を解説しました。一つテンヤはエサ釣りの集魚効果や喰わせ能力に加え、「誘って、掛ける」というルアーフィッシングの要素も持った、テクニカルでゲーム性の高さが魅力的な釣りです。これまで一つテンヤをやったことがないビギナーの方もこの記事を読んで一つテンヤにチャレンジしてみてください。